ビンディングペダルを買い、とりあえず練習は平坦が良いね、ということで霞ヶ浦一周コースを走ることになった。
筑波、霞ヶ浦。筑波には廃鉄道跡をそのままサイクリングロードにした「つくばりんりんロード」というのがあるらしい。ネットで調べていると、りんりんロード沿いは出店があり、ただの平坦とはいえ観光にも良さそう。景色もいいし。
いいじゃなぁい(荒北風)。
筑波山の選択を華麗にスルーし、霞ヶ浦一周のシンプルコースに決定。距離は初ライドぶりの140kmだ。
2ヶ月たった今、走れる自信があった。
で、ここでロードバイク経験者ならお気づきだと思うが、つくばりんりんロード=霞ヶ浦一周ではない。
我々は大きな勘違いをした。これがデスライドの始まりである。
土浦駅はサイクリング歓迎ムード
なんと土浦駅にはサイクリングする人のための準備スペースが併設されているではないか!
サイクルラック、コインロッカー、更衣室、蛇口。これが屋内にある。
早朝の寒い時期にこれはありがたい。
輪行袋を置いていけるのもいい。これで荷物を極限まで減らせる。
「神…!茨城最高かよ!」
「神…!千葉も見習ってほしい」
ロードに乗るとやたら土地に向かって上から目線になる私。
荷物を置いていけるのはいいが、輪行袋を置いていくということは途中リタイアが許されないということだ。この時は浮かれていて気がつかなかった。
りんりんロード←となっているが、我々が向かうのは逆の→
今見るとここで気づけよ!って思う。そう、これから走る場所はりんりんロードではない。
とはいえ、霞ヶ浦沿いのサイクリングロードは舗装がきれいで走りやすい。
朝日が昇り始め、ライドをスタートさせた。うーん朝のライドは本当に気持ちがいい。
やたらと祠や鳥居が多い。神話生物でも召喚するのか。K氏はやたら真剣に撮影している。この人きっともうとっくにSAN値がやばい値になっているんだ…だからこんな坂シャブモンスターになっているんだ…。
途中、レンタサイクルっぽい施設があり、ここで1回目の休憩をとる。
いきなり野良猫がお出迎えしてくれた。
表にまわると、「かすみキッチン」の旗が。
事前に調べたグルメスポットだったが、まだ早朝のため今回はパス。
出発しようとすると、先ほどの野良猫がやたらと甘えてくる。
これは…ローディーから補給食で餌付けされている猫だ!
甘えて甘えて甘えつくした後、いかせないぞと立ちふさがる猫。
君の食べられる食べ物はもってないんだ、ごめんよ…。
序盤ですでに景色に飽きる
右手には湖、左手は田舎の風景。
ライド2時間をすぎた頃、我々は重要なことに気づく。
「残り100km近くずーーーーーーーーーーーっとこの風景なのでは…」
霞ヶ浦は美しいが、飽きる。
というか飽きてきた。ロングライドで飽きると精神的な消耗が早くなってやばい。
「ねえ、帰りはあそこ(めっちゃ遠くにある対岸を指差しながら)を走るんだよ?ねえ、帰り道が見えるよ、すっごい遠くに」
K氏もやばさを感じはじめている。
ここで1件目のコンビニ。サイクルラックがあり、ここでも「茨城神」発言を繰り出す。
定期的にコンビニもありそうだし、と補給はあんぱん1個だけ買う。
予定よりも遅れているのでK氏からオーダーが入る。
「今から12時まで休憩なし!」
「ふぇっ!90分もあるよ…クソ退屈な平坦で」
公道だと信号で休憩ができるが、サイクリングロードは立ち止まる必要がない。この時の私は平坦連続走行45分が限界だった。
何よりの景色にもう飽きたよ!気が紛れるものがなく、チラチラとサイコンを見ても「まだ5分しか経ってない」と時間が進むのがやたら遅い。
「…」
「…」
やがて、K氏も同じことを思ったらしく、お喋りを始める。
「MERYの学芸大に深夜にいく記事が面白いんだよぉ」
お喋りで何とか気を紛らして、90分経った頃、我々はとうとう気づく。
補給ポイントがない!
「コンビニもお店も全然なくね?」
「ない…。補給食はもう全部食べたよ。お昼のお店がないのはともかく、補給がないのはやばい!」
残りまだ80キロ近くあるのに、補給が切れるのはやばすぎる。
気候の安定した平坦でリタイアとかwwwwうそやろ…。
というかリタイアしようにも輪行袋置いてきたから、来た道を戻るくらいしか選択肢がない。まだ午前中なのに後戻りだなんてつまらなさすぎて嫌だ。いろいろ終わっとる。
「あそこに中華料理の看板が見える!」
「満腹中華」なんとそそられる店名なんだ!
サイクリングロードをはずれ、一心不乱に看板を目指す飢えたローディー。
看板が砂漠のオアシスに見える。
「あれでお店潰れてたらうけるなw」
「えっ⁉︎」
冗談のつもりだったが、私の発言どおりお店は廃墟www全然面白くないwww
「いやまて、コンビニの看板が見える!」
コンビニあったーーーーー!
オアシスーーーー!
駆け寄って嬉しさのあまり写真まで撮ってしまった。サイクルラックも何もない普通のコンビニなのに。
「これまで見たコンビニの中で1番嬉しい」
ここで焼きそばとハンバーガーを買い、地べたに座ってランチタイム。
うめえ、焼きそばうめえ。
こんなにうまいコンビニ飯初めてだよぉ。
これからコンビニが一個もなくても大丈夫なように補給をすませて、ライドを続ける。
「あそこがゴールだよ。ゴールが見える。あそこまで走らないといけないんだ(5回目)」
珍しく心が折れているK氏の発言につられて心を折りそうになりながらも精神統一をして走る。平常心平常心。ロードはメンタルのスポーツ。
まさかのコースミスでさらにタイムロス
ん?北利根川?
このミスコースは辛い。
あとやんわりと向かい風なのも辛い。
「休憩スポットがあればそこで休憩」と決めても、休憩スポットがいつまでたっても現れない。
途中長い未舗装路もあるし、霞ヶ浦の南側はカオスすぎだろ。税金が足りてない。
休憩スポットなんてない!道端で休憩じゃ。
日が落ちてきて寒くなってきた。
本当にきつい。精神的にきつすぎる。なんてことない平坦なのになんて辛いんだ!。
あと、幾度となくでてくる水路が罠。水路の端まで走らされて「なぜショートカットがないのか」とバキバキ心が折れる。
駅前のビルが見え始めてから、ひたすらそこに向かって走り続ける。
私が前を引いていたが、後ろのK氏が珍しく心折れてるのが見なくても伝わってくる。
「これまでのライドで1番メンタルきつかった…」
駅に辿りついたが、体力的にはまだ余裕がある感じで、途中めちゃくちゃきつく感じたのは全てメンタル力が足りなかったせいだなーとおもた。
もうちょい踏んでもよかったね。
No補給スポット
No休憩ポイント
Noグルメ
ずーーーーっと景色同じ!
一向に近づかない見えるゴール地点
ツイッターでは「霞ヶ浦は初見殺し」と言っている人がいたけど、ほんとそうよ。
こうして、霞ヶ浦一周は想像以上に過酷に終わったのだった。