2016年末、四国香川の実家に帰省する予定を組んでいた。実家は限界集落間近のくそ田舎。
とにかく暇だし、食うか寝るくらいしかすることがない。せっかくデスライドで腰回りの肉を落としたのにプルプルしてきた。これは大変まずい。
そうだ、自転車がないなら借りればいいじゃない。
しかも、四国には「しまなみ海道」という聖地があるぞ。
いつかは行ってみたいと思っていたしまなみだが、実家から電車で90分ほどだし、いけなくはない。
そして、今治には GIANTストアがある。ここなら確実にロードバイクを借りられる。
帰りはそのまま尾道から電車をのりついで新幹線で東京に帰ればよい。実家の荷物は後で送り返してもらおう。そうして、サイクルウェアと軽装備だけ持って実家に帰省したのだった。
今治GIANTストアでGIANT DEFY3(アルミ)をレンタル
2017年1月4日。実家から電車で90分、今治駅に到着。
駅に隣接されているGIANTストアに早速飛び込んだ。
実は今の愛車以外のロードに乗ったことがないので、別の機体はどんなものかとても興味があった。距離は77kmくらいだしアルミでよかろう。
受付をすませ、身長を伝えると早速車体を用意してくれた。
お値段は本体5000円に乗り捨て価格3000円の計8000円。
軽くサドルの高さだけ合わせて、鍵とパンク交換チューブ、ヘルメット、地図、そしていざという時のためのレスキューポイントをまとめた紙をもらう。
店員「トラブル呼び出しレスキューっていうのもあるのですが、今日(1月4日)はたぶんやってないと思います。
トラブルがあったら、レスキューポイントまで持っていくか、もしくはリタイアの場合サイクルタクシーっていうのを呼んで実費で帰ってもらうことになります」
リタイアしても足があるとは素晴らしいなーさすが聖地!
とデスライドを重ねてきた身からしたら思うけど、これ普通の人だとメカトラブルあったら終わりやん…。
まあいいか。
初心者らしく初心者コースを走ることに
サイクリングコースはいくつかあり、初めてなら初心者コースがいいとおすすめされた。
店員「外周コースは、道の方角がわからなくなったりするので、初めてなら避けた方が無難です。あとアップダウンもあるのでフラットペダルだとしんどいですね」
なるほど。今回は大人しく初心者コースでいくか。
初心者コースの道には全部サイクリングコースのブルーラインがひいてあるし、4つの島には全部道の駅があって休憩スポットも豊富。
コンビニで1つだけウィダーインゼリーを買い、出発した。
それにしても暖かい…というか暑い。1月なのに暑い!来島大橋までの登りですでに汗だくになる。
これ、下手すると熱中症になるわww
最初の道の駅に立ち寄ってあることに気がついた。
「やばい、地元慣れしててお土産にも風景にもそこまで目新しさがない…!」
思ってたよりアップダウンがあるぞー
サイクリング詳細情報 | サイクリング | SHIMAP しまなみ海道観光マップ
初心者コースとはいえ、橋ごとにスロープ(だいたい平均斜度9%)があり、島の中には普通に峠もある。それぞれそこまで長くはない坂だが、地味に脚にくる。
その分、サイクルラック付きの休憩スポットがいたるところにある。
うーん、これは普通のママチャリや乗り慣れていない人がレンタルでクロスバイクに乗るのは結構きついのでは…。
長いスロープではクロスバイクの観光客を何人も追い越した。
こう書くと私が速く走れているかのようだが、地元のローディーには平坦でガンガン追い抜かれている。
GIANTのロードは乗りやすくはあるが、加速がうまくできない上に坂がきついwww
お金で強化した愛車が恋しい。
伯方島道の駅で地元ローディーに話しかけられる
おーこれが写真でよく見るサイクルラックか。
実際に立てかけて撮影してみると、自転車と交尾しているようだ…。
サイクルラックめちゃくちゃいっぱいあるけど、あまり使われていないww
普段使わないと使い方わからないよね…。
小腹がすいたから何かここで食べようかな…でも塩アイスは別に…塩ラーメンも別に…(だいたい味がわかる)と選り好みしていると、休憩中のお兄さんに
「自転車で来たんですか?」
と話しかけられる。
東京から香川に帰省して、今日は尾道まで渡ろうと思っているんですよーみたいな話をすると、そのお兄さんは松山の鯛めし屋で働いていて、最近ロードに乗り始めたというようなことを語ってくれた。
「松山の丸水っていうお店なんです。松山にきたら食べにきてください」
松山は以前住んでいたことがあった。GoogleMapでお店の位置を調べてみると、当時のマンションからすぐ近くのところにあった。
今年は四国ライドを何度かしようかと思っているので、松山に寄ったら行きます、と言い出発。
大三島でまさかのミスコース
次の大三島で昼飯(ご褒美)にしようと思い、飯スポットをぽちぽちと調べる。
初心者コースから3km離れたところに観光スポットがあり、そこで海鮮丼や鯛めしが食べられるらしい。
3kmなら10分そこらだし、寄っていこう。大三島橋を渡り「外周コース」の青いラインを走らせていると、そこそこの距離の峠がある。
まあ島の内陸はこういうのもあるよね、とがんばって登り、そろそろ10分たったかな?というところで異変に気付く。
観光スポットっぽい風景じゃない…。
iPhoneで地図を開いて現在地をみると、西に向かうはずが南に向かっているではないか。
うーん、選択は3つ。
・来た道を戻る
・大三島外周コースをぐるっと南周りにまわって観光スポットまでいく
・外周コースから観光スポットへショートカットできそうな小山を登る
登りたての峠をまた登るのは嫌だ…。そしてショートカットの道はサイクリング道でもないので未舗装路の可能性がある。
ということは、大三島外周コースか。いっても16kmくらい?だし1時間あればいけるだろう。昼飯が遅れるのはちと辛いが、何か途中にあればそこで飯でもいいや…。
と思っていたが、大三島外周ルート、何もない。あった!と思った農家レストランは年始休暇。
大三島外周ルート、めっちゃアップダウンあるんだが…。
トンネルも長い。終わりが見えない。
あの景色の果てをぐるっと周るわけね、なるほどね!
まあ、なんてファビュラスな坂✨✨💋
つらい。
これ明らかに中級者コースでしょ…。
想像以上のアップダウンと、1月とは思えない暑さに水と補給食の減りがやばい。カロリーが不足してきて力が入らなくなってきた。
観光スポットに来るも無人!
まごころよりも水と飯をくれーーーーー!
次から次へと現れる峠。
レベル違いのダンジョンに迷い込んで薬草とか使い果たしたのにモンスターが次々と現れてくるアレに似てた。
— 中川苦行@キコ (@yura3x3x3) 2017年1月4日
飯処に到着。嬉しくて泣いた
ひたすら無人の半島を走り続けて、やっとこさ当初の予定の観光スポットに到着。
人がいる、車がある、サイクルラックがある、飯も水もある…!
補給食は切れて、水も残りわずか(ちびちび飲んでた)。霞ヶ浦一周のときから何も成長していない自分…。
道の駅のレストランに入り、鯛めし御膳を注文。5分で完食。
1時間程度だと思っていた大三島外周は、予想外の峠の多さで2時間ほどかかってしまった。
今治GIANTストアの返却は18時がリミット。残り47kmほどの距離を3時間半で走破しないといけない。時間的に間に合わなくはないだろうが、ゆっくり観光もコースミスも許されなくなった。メカトラがあると完全アウトだ。
休憩を適度に挟んでトントンというところだろう。あとはひたすら初心者コースのブルーラインに沿って走らせるだけか。
登りですでに脚が終わっていたし疲労も溜まってきている。
コース上にジェラート店「ドルチェ」を発見。アイスクリームパンをmgmg。
日が落ちてきた。
しまなみのサイクリングコースのブルーラインは「尾道まで◯km」と出るのは親切だが、カウントダウンは地味にメンタルに来る。
瀬戸内の夕日を眺めながら、ようやく尾道の渡し舟に到着。
尾道GIANTストアに17時45分に到着。間に合った…。
尾道駅の近場のローソンにもサイクルラックが。
このあと、新幹線で東京の自宅まで帰宅。
しまなみ海道、今回は1月4日ということであまり人がおらず、お店も閉まっていたがシーズン中であればもっと楽しそう。
サイクリングコース以外にも各島にも見所がたくさんあるらしく、丘や展望台に登る道はたくさんあった。
泊りがけでいろんなコースを試すとかなり遊べそうなスポットで、まさに聖地というにふさわしい土地だと思う。
残り20km地点あたりで気を紛らわすために
「にゃん♪にゃーんにゃん♪にゃんにゃん♪」
と適当な歌を創作して大声で歌っていたら、
「どこへ向かっているんですか?」
と後ろからきたらしいおじさまローディーに追い抜き際に話かけられて死ぬほど恥ずかしかった…。
そのあと一瞬で千切られた。