週末の予定をたてる私とK氏。
私がロード沼に首まで浸かってしまったため、毎週末のこの行事もすっかり恒例となった。
K「明日だけど、山は凍結ダウンヒルでそのまま地獄まで下れる可能性大だからコース変更やで。せっかくやからコース引いてみ。」
私「こんなんでどうやろ。ゆるぽた湘南グルメライド。」
「ええね。小田原はちょっと行ってみたいとこあったし。昼頃には小田原これそうなんで、ここで飯にしましょう。」
「時間どおりに着いたら小田原でちょい遊んでもええね。じゃ明日。」
今回は、町田スタート、境川サイクリングロードを江ノ島まで下ってそのまま湘南沿岸を走り、真鶴観光して、余裕があれば熱海までいくという平和な平坦コース。
になると思っていた。なるはずだった。なぜならなかったのか。その経緯を綴っていく。
境川サイクリングロードで過去最高時速巡行やで〜
2回目の境川サイクリングロード。
道の舗装も良いし景色も最高。自分至上最高のサイクリングロードで湘南までアップもかねての巡行。
前回のロングライドでかなりスタミナが余ってしまったため、今回はゴールで脚とスタミナを使い切る感じで行こうと決めていた。
ブレーキが噛んで、ロードバイクがママチャリになるというメカトラブルもありつつ、修理をしてからは時速30km弱で順調に走行。
アニメ「ろんぐらいだぁす!」 にも出てたこの道〜。柵の模様が朝日で地面に投影されて、テンションがあがる。
道まで私たちを歓迎してくれている。神奈川は自転車の聖地だ。
あーやはりロードバイクは楽しい。
「今までよりも平均時速5kmくらい速くなってますよ。いいペース。
「まじで!タイヤの恩恵かな!」
あっという間に湘南ついたわー
午前9時半にはもう湘南に。このペースなら小田原ランチ&遊びも余裕そう。
湘南の海岸線、あったかいなり〜。
ビーチも最高〜〜〜〜〜!この開放感最高〜〜〜〜〜〜〜!!
海岸沿いの散歩道をゆるぽた。正面には「富士山」が見える〜〜〜!
空気澄んでる〜〜〜!
公道に入っても道が広くて走りやすいし、ストレスなく踏めてめっちゃ順調。
緩やかなアップダウンもあったけれども、難なくクリア。今までよりも格段に坂が登れるようになっているのが分かる。うれしー。
小田原漁港でランチ!本日採れたての魚介で海鮮丼じゃー
いいペースで走ってきたので、お腹はペコペコ。
魚市場食堂にいくつもりだったけれど、ものすんごい行列だったので向かいのお店「小田原早川漁村」へ。
朝漁港でとれる新鮮な魚介を使っているらしく、メニューの魚は日替わりなんだそう。
日替わりの魚大当たりすぎじゃろ。迷わず「日替わり3種海鮮丼」を選ぶ。
んおー、ご飯の量はちょっと足りないけど、魚がぷりっぷりでうまー。味噌汁も海苔の風味がたっぷり!家でこの味の再現は不可能。汗をかいた体にミネラルと塩分が染み渡る。
幸せ…。
以前行った「三浦半島」は過去最高クラスのロングライドでしたが、今回の神奈川も相変わらず満足度が高い。神奈川に住みたいよー。もしくは町田。
自己ペースも良いし、飯もうまいし、超順調!いや〜今回は珍しく平和に終わりそうだなあ。
「いやー速くなりましたね。あと坂もすいすい登れてる。もう僕がミニベロでついていくのが限界かも。」
「いやいやwwwwそんなことないでしょwwww(え、まじ?成長しすぎ?調子のっちゃうわー)」
怒りのデスライド開始
腹も満たしたし、補給も完了したところで、ふと右手の丘に白くてでっかい石像が見えた。鎌倉とかにありそうなやつ。
「…あれなんやろ」
「行ってみます?」
「いや、別にいいし(めんどくさい)」
「じゃあ行きましょう」
「聞いてる?」
…。
………。
……………。
!?
!????????????
スタートすぐの地点に現れるドーナツ。
この模様の坂は「きつい勾配で車が滑らないように摩擦抵抗を増やす」目的で工事されるもので、自転車乗りの間では「ドーナツ坂」と呼ばれるもの。
都内でも地下駐車場のスロープはこの模様が入っている所が多い。
車ですら滑り落ちそうなくらいの「激坂」ってことなので、この模様が見えると基本的にやばい。やばい坂。
とはいえ、大きな山でもない限り、ドーナツ坂が長く続くことってそんなにないはず(緩い坂や下りが混じる)なのに、ここずーっとドーナツ坂なんだけど???
普通のアスファルト来た!と思ったら向こう側にまたドーナツが見えるぅぅぅ!!!!!!!
お前wwまたwwwドーナツwwww
曲がってもドーナツドーナツ🍩🍩🍩
あと普通のアスファルトもそんなに斜度変わらないんだが???
平坦とか下りどこいった?滅んだの??
また普通のアスファルトにしといて再びドーナツのおかわりwww
これが果たしなく続く。
ふと立て看板を見ると「石垣山 一夜城公園」という文字が。山じゃねえか!
山どころかもはや立体駐車場だよ!
しかも親切に「頂上まで2キロ」と残り坂の距離をカウントダウンしてくれる…。看板が精神を破壊してくるし看板に殺される。
とっくの昔に心肺も脚も売り切れた私は、3つ目のドーナツカーブで自転車からおりた。
チャリ押してる…。わざわざ山でチャリ押して登山してる…。
自転車での山登りを「ヒルクライム」っていうらしいけど、私のは「登山」。しかも8.5キロのチャリを押す登山。
この登山、意味あるかな?
あとビンディングシューズ、歩行に向いてないし、もちろん登山にも向いてない。
靴底のクリートが滑って、歩行ですら普通の人より遅いペース。
生きる意味とか考え始めるレベルでつらい(心ポッキリ)。
そして、あまりにも終わらない坂のストレスからか、途中で急激に体調が悪くなり始めた。
ちなみにK氏には開始1分でちぎられている。
「やばい、お腹めちゃ痛くなってきた…。それどころか気持ち悪い。さっきの海鮮丼全部リバースしそう。っていうか目の前が白くなってきたし…あっ…」
まさかのここでリタイヤ…?
初めてのリタイヤ…?ゆるぽた湘南グルメライドで、えっ?
あまりにフラフラ登っていたのか、みかん農家のおっちゃんとおばちゃんに
「えらい疲れてるけど大丈夫か?」
と声をかけられる(そのあと、みかん買うてくれと言われる)。
しばらく坂の上でプルプル震えていると、頂上までいって折り返してきたK氏が戻ってきた。
体調が著しく悪いことを伝えて、そのまま頂上までいかず終了。
ダウンヒルしようにも、あまりの急勾配が怖すぎるし、体調悪化により手に力が入らないため下りもチャリを押して下ることにwwww
「もしかして、小田原で行きたいところってココだった?」
「うん。虫さんのブログ見て行きたくなった。」
そう、小田原で遊ぶ、とは山に登ることだった。しかもS級激坂の。
何度もK氏に騙された私、またも騙される。
ローディーの言うことを信じてはいけない。毎回こう思うのに毎回騙されてしまう…。
結局、白い石像もなかったらしい。
ゴールにもたどり着けないし、登れないし、体調悪くなるし、マジで何しにいったんや!
真鶴半島へ
下り終えると体調がモリモリと回復してきたので、そのまま当初のゴール予定真鶴まで目指すことに。
途中の海岸線でアップダウンはあったものの、こちらはクリア。どうも私は長く続く坂が苦手らしい。
真鶴半島の先端まで2kmくらい。
たぶんすぐに着くだろうから、先端にある博物館内の喫茶店で休憩して真鶴駅から輪行して帰ろうということに。
…。
………。
……………。
ハァァァァ!!!!また長い登りぃぃぃぃぃ!
「沿岸はこういう山みたいなアップダウン多いんやで。僕ももうさすがにきつい」ススススー(3分で千切られる)。
「(´;ω;`)」キコキコキコ…(ペダルをちまちま回す)
あとさ、真鶴駅からまっすぐ沿岸まで「下った」よね?
これって帰り道は「上り坂になる」ってことだよね?
下る必要、ありますか!?!!?
この下り、いる????
真鶴半島先端到着後に精神崩壊
まさかの再度激坂で、ライフはすっかりゼロ。
貝類博物館のトイレで鏡見たら、坂のストレスで顔がパンパンに腫れ上がってて死んだ顔してた。
隣接の喫茶店でケーキセットを食いながら、坂の途中で考えていたことを口に出しはじめる私。
「ろんぐらいだぁす!でさ、主人公のあみちゃんが初めてロードバイク乗るシーンあるやん。羽が生えたみたいに軽い〜って描写。あれは分かる。」
「あったね」
「で、ギア2段あげたら、さらにふわーって羽ばたいていくやん?あれも分かる。」
「おう」
「そのあと、ヤビツ峠登れちゃうやん?あれはマジで分からん(怒怒怒」
「wwwwwwwww」
「ロード初心者が勘違いするし、あれのせいで不憫な生まれたての子鹿が生産されるんだよ。あみちゃん、許さない…!」
「…(坂登りすぎて壊れちゃった)」
このあとK氏から「あみちゃんはきっと軽いから云々」みたいなマジ説明されたけど疲れててよく覚えてない。
意味不明な理由を挙げては怒り狂う私をみて爆笑するK氏。
「ヤビツは実際初心者向けだから、今度行きましょうね」とかなんとか言っていたような?アーアー聞こえない。
坂が登れない怒りをアニメにぶつける糞虫ペダル、それが私…。
せっかく来たことだし、岬の景色を楽しみ…
茶屋にある謎のポエムっぽい看板を鑑賞。
今にも神話生物が現れそうなクトゥルフっぽい「三ツ石」でSAN値チェック。
海岸で肩を寄せ合うカップルを見ながら「あの人たち、車で来てるんだよきっと。だから坂はしんどくないの」と漏らし、K氏からは「当たり前や」と突っ込まれる。
「心拍がきつくて坂が辛いなら、ギアあげて筋肉で登ってもいいかもね。真波スタイル」
「!!!そやな!帰りにやってみるわ!なんかできる気がしてきた!」
帰り道、真波スタイルを試すも、筋肉は速攻売り切れ。
ギアも一瞬で完売し、心拍も速攻で終了。1分でK氏に千切られて本日のライドは終了した。
泣いた。
「生まれ変わったら、沿岸のくだり坂になっている土地を埋め立てる仕事をする人になる。登りと登りの土地を繋げて平坦な崖を作れば坂はなくなる。」
「頭おかしくなった」
いつもはライドの記念として愛車と風景をセットで写真撮影するのに、今回は激坂のせいでそれも忘れていた。
かろうじて、自転車が写り込んでたカットは、iPhoneをしまう時に偶然ボタンを触ったのであろうこれだけ…。
… (´;ω;`)
……(´;ω;`)
帰りの電車で顔の穴から汁という汁を垂れ流しながら爆睡して、湘南ゆるぽたグルメライド、もとい小田原怒りのデスロードから帰宅した。
辛かったけれど、満足度は高かったよ。将来平坦職人になる夢も見つかったし。
次の日、会社の横の駐車場でドーナツ坂を見たときに「ひっ!」て声が漏れた。