GWのロードバイクでの旅2日目は、いよいよ本命の白根山「渋峠」に。 宿からスタートして草津を経由して登る87km、獲得標高1800mのコースだ。
1日目のレポートこちら。
ロードで絶景「渋峠」を目指せ!自転車旅1日目「碓氷峠〜北軽井沢」 - ロードバイク辛みのデスロード
吾妻線まではひたすら20kmほどロマンチック街道を下る。
目前にはまたまた浅間山が。相変わらず景色はよい。
こちら側のルートはまだロマンチック感があるな☺
草津までがすでにハードなんだが…!
下り終えたら、次は目的地の「渋峠」まではひたすらずーーーーっと登りである。
まずは草津まで…と長野原からさらに北へ続くロマンチック街道を登る。
まじで10%勾配の看板やめて。
ロマンチック街道…こんなとこでもおま…許せない…。
箱根の後半並みのきつい坂がひたすら続く。
そして暑い。標高が高い分、太陽との距離が近い。
途中コンビニでたまらず休憩。振り返ると、浅間山から煙が出ていた。
暑い…頭がヒートアップしそうだ。腕がしびれてきて、本格的にヤバさを感じ始めた。
あまりの暑さにたまらず水をかぶる。
「夏のローディーは水をかぶる」とは聞いていたが、まさか自分がこれをやる日が来るとは…。
このコンビニで塩分補給(梅干し)をするが、あまりにグロッキーになりすぎていて他に何も食べられなかった。
ここでの補給ロスが後半戦にもろに響いてしまうとはこのときは思ってもみなかった。
ツライ…。
「渋峠」へのモチベーションがなければここでリタイアしていたかもしれない。
前日に続いてロマンチック街道のやつめ、許せない…。
非日常感半端ない、渋峠の絶景区間
草津を越えたあたりから、ようやく勾配がマシになり、気温も下がってきた。
暑さ地獄からは解放される。
みちみちと登っていくと岩石がむきだしになった「殺生河原」が見えてきた。
「渋峠始まったな!!!」
「渋峠始まったし、臭い!硫黄が臭い!!!」
火山ガスが吹き出す地域一体は「駐車禁止」区域となっている。
うかうかしてると有酸素運動をしている我々は河原に殺生されてしまう。
きたきた、これが「渋峠」だ。
絶景すぎる異世界ゾーンに入ってきた。
ここは本当に日本なのか。
どこを見ても絶景しかない。
絶景すぎて、自分がここを走っている実感が持てないくらいだ。
標高が高くなるにつれて、木がどんどん減っていく。
そして雲が近い。
これが森林限界というやつか。
森林も限界だが、自分の肉体も限界を感じ始めている。
「ゆるやか」と評されることの多い「渋峠」だが、いわゆる激坂がないだけで、長い九十九折が延々と続く。
東京近郊の山とは比べ物にならないスケールだ。
あまりに広いゆえに視覚誤認を起こし、まっすぐ続く道が坂道に見えない。
しかし、ガーミンの勾配は8〜9%を叩き出していて実際はしっかり坂道。
これが想像以上の速さで体内の糖分を消耗していく。補給食のゼリーを食べながらがんばって踏む。ゼリーの糖分が異様にうまい。
途中でK氏には先に進んでもらうことに。
そして補給食が完全になくなった時にそれは起こった。
まさかのハンガーノック
ほぼ気力だけで登ってきたが、とうとう力が入らなくなってペダルを踏めなくなってしまった。意識も朦朧として立つこともできない。
ハンガーノックだ…。
周りの景色からみて山頂は近いはずだが、身体がまったく動かないし補給食ももうない。体の芯から力がふわーっと抜けていく。
オワタ…。
「お腹がすいて力がでなぃ…」
こんな状況なのにアンパンマンのかばおくんのセリフが頭の中をグルグルして離れない。
今すぐアンパンマンをよこしてほしい。
と、ここで一旦山頂まで登ったK氏が渋峠ホテルで買ったパンを片手に戻ってきた。
なんだこのベストタイミング。
「途中のペース配分から補給食がなくなるんじゃないかと思って戻ってきました。さぁ、かばおくん、パンだよ。お食べ。チーズパンしかなかったけど」
「あ…あんぱんまん…ではなくてチーズぱん…いただきます」
これまで狂ってるとか散々酷いことを言ってきてすまんかった。
今日から君はアンパンマンだよ。
横風で自転車倒れるし、私も倒れてる。
倒れながらパンを2個食べる。
「フラグを…またしても碓氷峠でのフラグを回収してしまった…。ブログの神が、デスライドの神が降りて来た…。褒めてほしい」
「ほんまどんだけコンテンツ性高いんだよ。それはいいから麦茶を飲むんだ」
身体が動くまで横たわりながら写真を撮っている姿を撮られる。
周囲は相変わらず絶景だが立てないから自分の自転車を撮った。
「あと2〜3kmで渋峠ホテルですが、無理そうなら戻りますか」
「ヤダー😫 ここまで来たなら最後まで登りたい。押してでも登る!」
と、自転車にまたがるも全く踏めず、一瞬で心拍が160まで上がってしまったため、本当に押して登った。
すれ違う下りのローディーたちに「頑張れ」「頑張れ!!」と声をかけられる。
うれしいけど公開処刑のようで恥ずかしいwww
雪の回廊きた!
ついにきた。渋峠名物の雪の回廊。
これこれ、ここで写真を撮りたかったんだ。
目的の1つを達成した…。うれしい。
渋峠ホテル到着
ほどなく群馬と長野の県境にある渋峠ホテルに到着。
はい、今から長野入りまーす🤗
飯を、飯をくれーーーー!
と食堂に駆け込むもすでに食堂の時間が終わっていた。悲しいwwww
再びパンと売店のお菓子をもりもりと食って帰りの糖分を補給する。コーラもガブガブ飲む。
さて、看板犬のインディーくんとマーカスくんをモフモフするぞ。
ベンチに座ると、 2匹ともぴっとりくっついてきてくれる。可愛いすぎじゃない?
お腹までみせちゃって、こいつー。
少し戻って、日本一標高の高い国道で記念撮影。
押しながら登っていたが、さすがに恥ずかしかったのでこの周辺だけチャリに乗ったww
証明書も購入!これで渋峠のすべてのミッションをクリア。
あとは来た道をひたすら下るダウンヒルのみ。
草津温泉で足湯に入るぞ!
旅の最後の観光は草津温泉。
湯畑で足湯に入る。
泉温が高いのと足の疲労がピークなのとで「あおおおうブゥゥ」と変な声が漏れた。
ふぅ、マジで宿泊したいwwww
箱根の時もそうだったが、有名な温泉街にきたのに温泉に入れないで山登るとかどんだけマゾい趣味なんだ。
長野原草津駅から帰還
田舎すぎて街灯がなくひたすら怖い。
ようやく駅に到着するが、無人駅で人の気配が皆無。
サイレントヒルかな?
終電が20時半だ。
電車貸し切り状態。
今がGW後半とは信じられないが、あまりにも田舎すぎて交通手段がないせいだろうな。きっとみんな車で移動しているんだろう。
自転車なら煩わしい渋滞とも無縁だよ。
ただし、エンジンもガソリンも自分の肉体だから補給はしっかりやろうな(学び)。
「渋峠」、過去最高に過酷だったが、新たなる世界を知ってしまった。
いい大人になると、良くも悪くも賢く生きることを知り、限界を突破しづらくなる。
そのぶん、新しいものとの接触機会も減る気がする。
ロードバイクは、今までの自分の知っている価値観をあっさり越えるきっかけを作ってくれる秀逸なツールだ。
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東京戻った後、表参道ヒルズに立ち寄ったのだが、この建物の構造が「渋峠」に見えて軽く動悸がした。
しばらく長いつづら折りはノーサンキューだよ!